第12回 ドローンの「顔」はどっち?

~正しく飛ばしていても、伝わらなければ不安になる~

第三者アドバイザーは見た!

ある大規模マンションで、ドローンを使った建物調査を行った時のお話です。

そのマンションは複数の棟で構成されており、すべてを調査するには数日かかる予定でした。
この日は、そのうちの一棟を調査していました。

こんな感じでドローン調査をやっていました。(イメージ) もしマンションの対面のお宅から見たとしたら・・・

ところが、調査中の棟ではなく、その隣の棟に住む方から突然クレームが入りました。

なぜ、うちの棟を撮影しているんだ! 調査予定は今日ではないだろう!

担当者は説明しました。

撮影しているのは隣の棟です。お住まいの棟は撮影していません

しかし、その方は納得されません。

なぜ、そう言い切れるんだ。下から見ても、ドローンの前と後ろなんて分からないだろう!

確かに、地上から見上げると、ドローンはどの方向を向いているのか分かりにくい形をしています。

操縦者は機体の向きと撮影画面を確認しながら、調査対象の棟だけを撮影していました。それでも、離れた場所から機体を見ている居住者には、そのことが伝わりません。

そんな説明は信用できない。今すぐ調査を中止してほしい

結局、その日の調査は急きょ中断することになりました。

調査しているドローンと目が合う(?)状態。ビックリしますよね。

ドローンの向きは、どう見分ける?

この調査で使用していた機体には、前後の向きを確認できるライトが付いていました。

前側のアームには赤色、後ろ側のアームには緑色のライトが点灯し、地上からでも機体の向きを確認できるようになっていました。

しかし、その見分け方までは事前のお知らせに記載していませんでした。

操縦者や調査担当者にとっては当たり前のことでも、居住者にとっては初めて見る機器です。

予定とは違う棟の方向を向いているように見える

そう感じれば、自宅を撮影されているのではないかと不安になるのも無理はありません。

この経験から学ぶこと

この事例で問題となったのは、ドローンの操作方法ではありません。

調査対象の棟だけを撮影し、操縦者も機体と映像を確認しながら飛行していました。

それでも調査が中断したのは、「正しく調査していること」が居住者に伝わるところまで、説明を準備できていなかったからです。

ドローン調査を行う際は、調査日程や対象棟だけでなく、次のような内容も事前に周知しておく必要があります。

・ドローンが飛行するおおよその範囲
・撮影する対象と、撮影しない対象
・機体の向きの見分け方
・操縦者が撮影範囲をどのように確認しているか
・不安や疑問がある場合の問い合わせ先

特に複数の棟が隣接するマンションでは、調査対象ではない棟からもドローンが見えます。

そのため、「今日はこの棟を調査します」という案内だけでは、十分とはいえません。

調査する側が正しく運用することは当然です。
しかし、それと同じくらい大切なのが、居住者が見ても安心できる説明を用意することです。

少し説明を加えるだけで防げる誤解もあります。

ドローン調査では、飛行計画だけでなく、「どう見えるか」まで想像して周知することが、円滑な調査につながります。

第三者アドバイザーから一言

正しく行っているから、分かってもらえる。

工事や調査の現場では、必ずしもそうとは限りません。

専門家にとっての常識と、居住者が目にする光景には、大きな隔たりがあります。

説明する側は「何をしているか」だけでなく、「居住者にはどう見えるか」まで考えることが大切です。

この「第三者アドバイザーは見た」は施工管理、大規模修繕コンサルティングの経験をもとに、現場で実際に起きた出来事や教訓を、管理組合の皆様に分かりやすくお伝えするシリーズです。

※一部の記事は、個人やマンションが特定されないよう内容を再構成・匿名化しています。


GB English Summary

During a drone inspection at a large condominium complex, a resident in a neighboring building complained that their building was being filmed, even though the drone was surveying a different building. From the ground, it was difficult to tell which direction the drone was facing, and the resident remained concerned despite the operator’s explanation. The inspection was eventually suspended.

The drone used for the survey had colored lights that indicated its front and rear, but this information had not been included in the advance notice to residents. This case shows that correct operation alone is not enough. Before a drone inspection, condominium owners’ associations and survey teams should explain the flight area, filming targets, how the operator controls the camera direction, and who residents can contact with concerns. Clear communication from the residents’ point of view can prevent misunderstandings and help inspections proceed smoothly.



問い合わせはこちら
理事会様用初回無料相談はこちらから

Comments

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です