特別編 大規模修繕工事の談合報道を受けて

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~会社の責任と、現場担当者への非難を分けて考えてほしい~

今回の記事は「第三者アドバイザーは見た!」というよりは私の意見です。


2026年9月28日、公正取引委員会は、関東地区のマンションの大規模修繕工事を巡る受注調整について、関係する事業者への排除措置命令及び課徴金納付命令を公表しました。

管理組合が信頼して任せた工事で、公正な競争が損なわれていた。

大規模修繕工事に携わってきた私にとっても、重く受け止めるべき出来事です。

その一方で、報道を見ながら気になったことがあります。

今もそれぞれの現場で働いている現場監督や現場代理人は、どのような思いで居住者の皆様と向き合っているのだろうか、ということです。

■現場から見える受注の経緯には限りがある

私は以前、大規模修繕工事の現場代理人として働いていました。

私が経験した会社では、営業部門が受注した工事を、現場担当者が引き継いで施工するという役割分担でした。

工事の概要や管理組合の要望、受注までの経緯について説明を受けることはあります。

しかし、他社との見積価格のやり取りや、受注に至るすべての交渉内容まで、現場担当者が把握しているわけではありません。

私自身も、担当した工事の受注過程をすべて確認できていたわけではありません。

私がお伝えできるのは、自分が現場で経験した役割分担と、施工に向き合っていた姿勢です。個別の受注過程について判断する立場にはありません。

ただ、現場では、引き継いだ契約や仕様に基づいて、安全を確保し、品質を守り、予定どおりに工事を進めるために働いていました。

■管理組合の怒りは当然です

修繕積立金は、居住者や所有者の皆様が、建物の将来のために長年積み立ててきた大切なお金です。

その工事の発注で公正な競争が損なわれていたと知れば、怒りや不信感を抱くのは当然だと思います。

  • 「信頼して任せたのに」
  • 「適正な金額だったのか」
  • 「これから誰を信用すればよいのか」

そうした疑問に、関係する会社はきちんと向き合う必要があります。

事実関係の説明、個別の工事への影響の確認、再発防止、必要な対応について、会社として責任を持って回答していただきたいと思います。

■目の前の現場監督が、不正に関与したとは限らない

工事中、居住者の皆様が最も顔を合わせる会社の担当者は、現場監督や現場代理人かもしれません。

毎日現場にいて、工事の説明をし、困りごとや苦情を受け付ける人です。

会社の窓口として、報道について質問や説明の要望を受けることもあるでしょう。

しかし、その人が会社の制服を着ていることと、その人自身が受注の不正に関与していたことは、同じではありません。

会社ごとに役割分担は異なりますし、現場担当者の関与の有無も、個別の事実に基づいて確認する必要があります。

だからこそ、関与が確認されていない現場担当者に対して、会社の不正をその人自身の行為であるかのように責めることは、どうか避けていただきたいのです。

■会社は、現場担当者だけに説明を背負わせないでほしい

このお願いは、居住者の皆様だけに向けたものではありません。

関係する会社にも、お願いしたいことがあります。

現場担当者を、十分な情報も権限もないまま、説明の最前線に立たせないでください。

管理組合から問い合わせがあれば、誰が責任を持って回答するのか。

受注経緯や契約金額に関する疑問には、どの部署が対応するのか。

会社として窓口を明確にし、現場担当者から責任ある担当部署へ引き継げる体制を整えていただきたいと思います。

現場監督が「分かりません」と答えるしかない状態では、管理組合の不信感も、現場担当者の負担も大きくなってしまいます。

■現場を預かっていた一人として

私も現場代理人だったころは、できるだけ良い工事にしようと考えながら働いていました。

居住者の生活への影響を少しでも減らし、安全に工事を進め、仕上がりにも納得していただきたい。

そのために、職人と調整し、居住者に説明し、問題が起これば対応していました。

そのような日々の中で、自分が把握していなかった会社の不正について、個人として強く責められることになったら。

私なら、現場へ向かうことがつらくなるかもしれません。

今、実際にそのような状況に置かれている人がいないだろうか。

それが、今回この記事を書こうと思った理由です。

■最後に一言

会社の責任を追及することは必要です。

現場で働く人への配慮をお願いすることは、会社の不正を許してほしいという意味ではありません。

また、現場担当者が不正に関与していた事実があるなら、その行為についても確認し、責任を問う必要があります。

私がお願いしたいのは、関与が確認されていない人まで、一括りにして責めないでほしいということです。

工事の品質や安全に問題があれば、現場担当者へ遠慮なく伝えてください。

受注の不正や会社としての説明については、会社の責任ある窓口に回答を求めてください。

管理組合の大切なお金と信頼を守ること。

そして、現場で誠実に働く人が、安心して仕事を続けられること。

その両方を大切にしていただきたいと、現場を預かっていた一人として、切に願っています。

参考資料:
公正取引委員会「関東地区所在のマンションの管理組合が設計コンサル業者に委託して発注する大規模修繕工事の施工業者らに対する排除措置命令及び課徴金納付命令等について」(2026年9月28日)

https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2026/sep/260928_daiyon.manshon.html

※この記事は、筆者の現場経験に基づく意見です。個別の工事や現場担当者について、不正への関与の有無を判断するものではありません。


施工管理、大規模修繕コンサルティングの経験をもとに、現場で実際に起きた出来事や教訓を、管理組合の皆様に分かりやすくお伝えするシリーズです。

※一部の記事は、個人やマンションが特定されないよう、内容を再構成・匿名化しています。




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English Summary

On September 28, 2026, the Japan Fair Trade Commission announced cease-and-desist orders and surcharge payment orders concerning bid rigging in major condominium renovation projects in the Kanto region.

Condominium owners have every reason to feel angry and question whether their repair funds were used appropriately. The companies involved must explain the facts, address concerns about individual projects, and take responsibility for preventing recurrence.

As a former site manager, I also worry about those currently working on site. In my experience, sales teams handled the contracts, while site managers took responsibility for safety, quality, scheduling, and communication with residents. Site staff did not necessarily have access to all negotiations leading to a contract.

Working for a company involved in misconduct does not, by itself, establish an individual’s involvement. Questions and complaints are legitimate, but personal blame should be based on the facts.

Companies should provide clear, accountable contact points rather than leaving site managers to answer questions without sufficient information or authority.

Protecting owners’ funds and trust, while treating conscientious site staff fairly, are both essential.

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