~忙しい時代だからこそ、決め方を考える~
第三者アドバイザーは見た!

ある都心のマンションで、大規模修繕工事前の理事会に参加したときのお話です。
そのマンションでは、比較的若い世代の方々が理事を務めていました。
皆さん仕事や家庭の予定で忙しく、平日の夜に集まることも簡単ではありません。
設計コンサルタントは、調査結果や工事内容を理事会で確認・検討していただき、必要な承認を得ながら、次の段階へ進めていきます。
しかし――
なかなか理事会を開催できないのです。
日程を調整しても、
「その日は出張です」
「残業で参加できません」
「家族の予定があります」
そんな返事が続きました。
ようやく理事会を開催できても、その後には議事録、見積書、仕様書など、確認していただく資料が数多くあります。
メールで資料を回覧しても、全員の確認や意見がそろうまでに何週間もかかってしまいます。
その結果、本来であれば進められるはずの工程が止まり、工事の開始時期そのものが遅れる可能性も出てきました。
そのとき、私は思いました。
これは、理事の皆さんが非協力的なのではありません。
多くの人が、集まりたくても集まれないほど忙しい時代になったのです。
この経験から学ぶこと
大規模修繕工事では、管理組合による確認や意思決定が欠かせません。
一方で、従来と同じように、全員が同じ時間、同じ場所に集まる方法だけでは、円滑に進めることが難しいマンションも増えています。
最近では、オンライン会議や電子資料の共有など、デジタルツールを活用して理事会を運営する管理組合も増えてきました。
もちろん、重要な内容については、十分に話し合うことが必要です。
また、正式な意思決定は、それぞれのマンションの管理規約に沿って行わなければなりません。
大切なのは、「集まること」そのものを目的にするのではなく、限られた時間の中でも十分な情報を共有し、適切に判断できる仕組みをつくることです。
それが、これからの管理組合運営には必要なのかもしれません。
第三者アドバイザーから一言
今回の事例は、都心で働く忙しい方々が多いマンションでの出来事でした。
一方、区分所有者が遠方に住んでいることの多いリゾートマンションでも、同じような問題が起こります。
マンション管理は、理事会だけで進めるものではありません。
設計コンサルタント、施工会社、管理会社など、それぞれの関係者が役割を果たし、協力することで、初めて良い大規模修繕工事につながります。
例えば、事前に論点を整理した資料を配布する、判断が必要な事項を明確にする、対面とオンラインを使い分けるなど、関係者側にもできる工夫があります。
忙しいからこそ、お互いの時間を尊重しながら、確実に意思決定できる方法を考えていく。
それも、これからの管理組合運営に求められる大切な考え方ではないでしょうか。
この「第三者アドバイザーは見た」は施工管理、大規模修繕コンサルティングの経験をもとに、現場で実際に起きた出来事や教訓を、管理組合の皆様に分かりやすくお伝えするシリーズです。
※一部の記事は、個人やマンションが特定されないよう内容を再構成・匿名化しています。
GB English Summary
During a major repair project at a condominium in central Tokyo, I worked with a board whose members were mostly busy working professionals.
Although they understood the importance of the project, arranging meetings was difficult because of business trips, overtime work, and family commitments. Reviewing meeting minutes, estimates, and specifications also took considerable time. As a result, important decisions were delayed, creating a risk that the construction schedule itself would be postponed.
This experience taught me that the problem was not a lack of cooperation. Rather, traditional meeting practices no longer fit the lifestyles of many condominium owners. I have encountered similar difficulties at resort condominiums, where many owners live far from the property.
Online meetings and digital document-sharing tools can make communication more efficient. However, decisions must still be made in accordance with each condominium’s management bylaws.
Successful condominium management depends on cooperation among the board, consultants, contractors, and property management company. In today’s busy society, creating an efficient and reliable decision-making process while respecting everyone’s limited time is becoming increasingly important..



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