~劣化の原因は、紫外線や風雨だけではない~
第三者アドバイザーは見た!

あるマンションで、建物の調査診断を行った時のお話です。
屋上に上がり、防水の状態を確認していると、パラペットに施工されたウレタン塗膜防水に、小さな穴がいくつも開いていることに気づきました。

ウレタン塗膜防水は、時間の経過とともに紫外線や風雨の影響を受け、表面の色あせやひび割れなどが発生することがあります。
しかし、目の前にある穴は、そのような通常の経年劣化とは様子が違いました。
何か先の尖ったもので、表面をつついたり、引きちぎったりしたような跡に見えます。
「誰かが傷を付けたのだろうか?」
そんな考えも浮かびましたが、ここは施錠されたマンションの屋上です。居住者が自由に出入りできる場所ではありません。
いたずらとは考えにくく、原因の見当がつきませんでした。
専門家が挙げた、意外な“犯人”
その場から、防水の専門家である防水メーカーの担当者に画像確認してもらったところ、思いがけない答えが返ってきました。
「おそらく、カラスなどの鳥によるものではないでしょうか」
「鳥が防水材を食べるのですか?」
思わず聞き返してしまいました。
もちろん、鳥が防水材を餌として食べているとは限りません。
専門家の話では、鳥が柔らかい材料に興味を示してつついたり、くちばしで引きちぎったりすることがあり、同じような損傷を別の現場でも確認したことがあるとのことでした。
ただし、実際に鳥がこの場所をつついているところを目撃したわけではありません。そのため、鳥による損傷と断定することはできません。
それでも、屋上への立入り状況や穴の形、過去に確認された類似事例を考えると、鳥害は有力な原因の一つと考えられました。
小さな穴でも、放置はできない
穴そのものはそれほど大きいものではありません。
しかし、防水層は建物の内部へ雨水を入れないための重要な部分です。
表面に穴が開き、防水層としての連続性が失われれば、そこから水が入り込む可能性があります。
すぐに室内へ漏水するとは限りませんが、放置すれば下地に水分が回り、防水層の浮きや劣化を広げる原因となることがあります。さらに水分がコンクリート内部へ浸入すれば、建物の劣化を進める一因にもなります。
「鳥がつついただけ」と軽く考えることはできません。
この経験から学ぶこと
建物の劣化というと、多くの方は紫外線、風雨、温度変化、経年などを思い浮かべると思います。
しかし実際の建物では、人の出入り、設備の設置、飛来物、動物や鳥など、思いがけない要因によって損傷が生じることがあります。
大切なのは、穴を見つけた時に、見た目だけで原因を決めつけないことです。
・穴の大きさや形状
・発生している場所と範囲
・周囲に羽根やふんなどの痕跡がないか
・同じ場所で損傷が繰り返されていないか
・防水層の下まで影響が及んでいないか
こうした状況を記録し、防水の専門業者に確認してもらう必要があります。
また、補修しても同じ場所に再び穴が開く場合は、単に防水材を塗り直すだけでは十分ではありません。原因を改めて調べ、必要に応じて再発防止策も検討することになります。
マンションの屋上は、普段、居住者の目に触れにくい場所です。だからこそ、定期的な点検によって小さな異変を早めに発見し、被害が広がる前に対応することが重要です。
第三者アドバイザーから一言
建物の劣化には、必ず理由があります。ただし、その理由が一目で分かるとは限りません。
今回のように、通常の経年劣化とは異なる傷を見つけた時は、安易に原因を断定せず、専門家の知見と現場の状況を組み合わせて判断することが大切です。
小さな穴に見えても、防水層にとっては見過ごせない損傷です。早期発見と適切な補修が、漏水や建物劣化の進行を防ぐことにつながります。
この「第三者アドバイザーが見た」は施工管理、大規模修繕コンサルティングの経験をもとに、現場で実際に起きた出来事や教訓を、管理組合の皆様に分かりやすくお伝えするシリーズです。
※一部の記事は、個人やマンションが特定されないよう内容を再構成・匿名化しています。
GB English Summary
During a condition survey at a condominium, I found several unusual holes in the polyurethane waterproof coating on a rooftop parapet. The damage did not resemble ordinary deterioration caused by ultraviolet exposure, rain, or aging. Because access to the roof was restricted, intentional damage by a person also seemed unlikely.
Waterproofing specialists suggested that birds such as crows may have pecked or torn the flexible coating. Although no one witnessed the damage occurring and the cause could not be confirmed, bird activity was considered one possible explanation based on the shape of the holes and similar cases observed elsewhere.
Even small punctures should not be ignored. Once the continuity of a waterproof layer is damaged, water may enter the substrate and contribute to further deterioration. When unusual damage is found, the location, shape, extent, and surrounding evidence should be recorded and assessed by a waterproofing specialist. Regular rooftop inspections and early repairs can help prevent minor defects from developing into leaks or more serious building damage.



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